騒音による健康被害から作業員を守るためには「80デシベル」が一つの基準に。

騒音から作業員を守るためには

工場内の騒音と作業員の健康被害について、
当ブログではこれまで数回にわたって情報発信をしてまいりました。

それでは、いったいどのくらいの騒音レベルならば、
作業員の安全は守られる
のでしょうか。

厚生労働省のガイドライン(※1)では、騒音レベルが85デシベル(A)未満となるよう、
事業者に適切な対策を求めています。
これは日本だけでなく、世界各国を見ても一つの許容基準値とされているようです。

たとえばアメリカの米国労働安全衛生局(※2)では、90デシベル(A)を基準値としていますが、
これでは労働者の健康被害リスクを回避できないとし、米国立労働安全衛生研究所(※3)によって、
さらに5デシベル低い85デシベル(A)が推奨されています。

(※1)「騒音障害防止のためのガイドライン」

(※2) OSHA(Occupational Safety and Health Administration)

(※3) NIOSH(National Institute for Occupational Safety and Health)

出典:騒音障害防止のためのガイドライン
厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署
https://www.mhlw.go.jp/content/000679171.pdf

一方、EUでは騒音曝露の上限を85デシベル(A)、下限を80デシベル(A)と定めており(※4)、
特にオランダは世界的に見ても厳しい基準として、騒音許容レベル80デシベル(A)を採用しています。

このように各国の状況を見ていると、80デシベルが許容基準のボーダーラインであり、
80デシベル未満ならば、健康被害が起こるリスクが極めて低くなると言えそうです。

(※4) EU Directive 2003/10/EC

出典:平成29年度産業保健調査研究報告書 騒音性難聴に関わるすべての人のためのQ&A
茨城産業保健総合支援センター
https://ibarakis.johas.go.jp/wp/wp-content/uploads/2018/11/souon_20181128c.pdf

各地点の計測条件によって騒音レベルは大きく異なる

本来作業環境測定は定期的に行わなければなりませんが、
騒音規制法として80デジベル未満の場合は、その必要がありません。
ですが、条件によってはデシベル数が大きく変化してきます。

・音は発生源からどれくらい離れているのか
・80デジベルがどこから発しているものなのか
・80デジベルの騒音を発する物が、どのくらいの距離に何個あるのか

これらによっても数値が大きく変わります。

通常等価騒音レベルは10数地点の計測となりますが、例え85デジベルの基準に対応し、測定結果が70デジベルと
基準を大きく下回る場合であっても、工場内で働く作業員たちはどうでしょうか。
騒音対策が出来たとしても本当に作業員の健康まで守れているのでしょうか?

90デシベルでは健康被害から作業員を守れない

作業員を守るのは企業としての責務

日々稼働する工場内で、80デシベル未満を保つことは容易ではないかもしれません。
しかし、職場騒音による健康被害はさまざまで、完治や再生が難しいケースもあります。

【騒音による健康被害】

■聴力障害

職場などで慢性的に騒音にさらされることで起こる騒音性難聴など。
自覚症状が乏しく、ゆるやかに進行するため、本人が気付かないうちに悪化。完治が難しい病気とされる。

■心血管系への影響

ストレスホルモンであるカテコールアミンの生成と血圧の上昇により、心血管系に影響が生じる。
過度の騒音にさらされることで、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが上昇するとの研究結果も。

■ストレス

一般的に騒音レベルが高いほど、ストレスも増える。
イライラや睡眠不足から起こる慢性疲労、緊張状態、自律神経の乱れなどが、健康を損なう原因に。

■事故のリスク

騒音は作業現場でのコミュニケーションを妨げ、事故の確率を増加させる。
また、騒音による集中力の低下も、事故リスクを高める原因となる。

適切な騒音対策は、企業としての責務

どこまで下げるのを目標とすべきか、
作業員の安全と健康は、他ならぬ事業者が守らなければなりません。
適切な騒音対策は企業としての責任であり、
その姿勢が企業価値を高めることにもつながります。

御社の騒音を80デシベル未満へと近づける防音対策を、
ダイワ工業がともに考えてまいります。

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