地震や地盤沈下にも影響! 実は危険な工場地下の浸水とは【修繕事例】

“働く現場目線”の修繕工事を行うダイワ工業では、
工場・倉庫・店舗といった事業系鉄骨建築の新築や改築、修繕等を直営工事で行っています。
今回は建物の地下にたまった原因不明の水についてのお話です。

地下が原因不明の浸水。長雨の影響か?【プロジェクト概要】

「雨漏りをきっかけに古くなった工場全体をメンテナンス。向こう10年の
安心を手にいれる」のブログでご紹介したK社様。
ご依頼の際に、一緒に見てもらえないか……と相談を受けたのが、社屋兼工場の
地下ピットの浸水でした。

【地下ピットとは】

「ピット」とは日本語で穴・竪穴・坑内のこと。建物の地下にある空間を地下ピットと呼びます。
鉄骨建築の場合、建物そのものが非常に重量があるため、基礎に空間をつくることで自重を分散させたり、
地震などに強い構造を生み出します。

地下にたまった水の深さは25cmほど。
K社様では社屋のあちこちで雨漏りが見つかったため、地下ピットの浸水も雨が原因であることが疑われました。

見つかった課題

  • 地下ピットの浸水は、K社様の操業自体に影響はないことを確認。
    しかし、本来空間であるべき場所に水がたまると、水の重量によって建物構造上のバランスが不安定になり、
    放置することは望ましくなかった。
  • 水がたまるとと雑菌や虫がわく要因にもなり、衛生面でも問題があった。

ダイワ工業の【提案・施工】

操業に支障はなくとも、水がある状態は建物にとって良くないことばかりです。
まずは現状の確認も含めて、工場が稼働していない土・日曜に試験的に水抜いてみることになりました。

翌月曜に再び地下ピットを見てみると、水抜きで下がったはずの水位が
元に戻っていることを発見。しかも、土曜〜月曜まで雨は降っていません。
いったいどこから浸水しているのでしょうか?

工場では地下水をくみ上げて冷却水としていた

K社様はプラスチックのリサイクル企業。お客様に話を聞くと、素材の溶解の際に
冷却水として地下水を使っていることがわかりました。
使い終わった水は、地下ピットを利用して場外へと排水されていたのです。
さらに調べていくなかで、以前から排水の配管に亀裂があることが判明。
浸水の原因が明らかになりました。

12の空間に仕切られた地下ピット

K社様の地下ピットは、基礎の梁によって12の空間に仕切られています。
人が入れるような空間ではないため、内部の確認は点検穴からしかできません。
しかも、もともと設けられた点検穴は1カ所だけ。

そこで新たに3カ所に点検穴を作り、合計4カ所の点検穴から
地下ピット全体の水抜きを早期に行うことをご提案しました。

排水用の配管は亀裂があり使用が厳しいため、新しい排水ポンプを設置。
自動的に排水が行えるシステムを新たに作ることになりました。
これで地下ピットに冷却水がたまることはありません。

地下ピットにたまった水の危険性

少し専門的な話になりますが、建築士が行う建物の構造計算では
地下ピット内を【空洞】として計算します。
空洞の状態で、建物全体のバランスや強度が保てるよう緻密に計算しているのです。

また地下ピットは、鉄骨建築の自重を分散させる意味合いがある大事な空間です。
そこに水の重さが加わると建物の強度にも影響が及び、地震の際には
左右に揺れやすくなり、大きな危険がともないます。

例)「空っぽのコップ」と「下の方に水が入ったコップ」。
地震が起きたとき傾いたり、揺れたりする可能性が高いのはどちらのコップ……?答え)水の入っているコップ
水の重さが遠心力を利用して、より大きな揺れにつながる可能性があるから。

地震に対する強度の低下や地盤沈下など、地下にたまった水は
建物にさまざまな悪影響を及ぼしかねません。

こうした危険性を推測できるのは、鉄骨建築のプロであり、
経験豊富な一級建築士が社内にいるダイワ工業だからこそ。
弊社の叡知と技術を最大限活用して、より安全・安心な建物へと導くことをお約束します。

修繕工事情報

概要 詳細
施工内容
施主 K社様
所在地 埼玉県三郷市
業種 合成樹脂の着色販売、再生原料の加工販売 ほか
規模 間口20m×奥行38m×高さ10m
工事日数 約1.5カ月

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一級建築士がいるからこその安心感

環境にもよりますが、建物は約10年周期でメンテナンスをするのが望ましく、
適切なメンテナンスを行うことは建物の耐用年数を伸ばすことにもつながります。

逆に劣化や不具合をそのままにしていると、建物は傷み、早期に寿命を迎えかねません。
ダイワ工業では、工場・倉庫・店舗など鉄骨建築の建物診断やメンテナンスも行っております。
気になることがございましたら、ぜひ一度ご相談ください。

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