まず、自社の現場の騒音レベルを知ることから騒音対策を始めよう。

限度を超える騒音には、改善勧告や罰則も

工場や建設現場などで発生する騒音は、法律によって規制されています。
その1つが環境省による騒音規制法で、著しい騒音から国民の生活環境や健康を守るために制定されました。

騒音規制法では、指定された地域内(※1)で、
「特定施設」を設置する工場・事業場を規制対象としています。

もし、騒音が許容限度を超えている場合は、
工場への改善勧告の要請や、従わない時には罰則が適用されます。

(※1) 指定地域は都道府県知事や市長・特別区長が指定しています。具体的な地域については都道府県等にてご確認ください。

「特定施設」とされているのは以下のとおりです。

  • 金属加工機械(圧延機械、製菅機械等)
  • 空気圧縮機及び送風機(原動機の定格出力が7.5kW以上のものに限る
  • 土石用または鉱物用の破砕機、摩砕機、ふるい及び分級機(原動機の定格出力が7.5kw以上のものに限る。)
  • 織機(原動機を用いるものに限る。)
  • 建設用資材製造機械(コンクリートプラント、アスファルトプラント)
  • 穀物用製粉機(ロール式のものであって、原動機の定格出力が7.5kw以上のものに限る。)
  • 木材加工機械(ドラムバッカー・チッパー等)
  • 抄紙機
  • 印刷機(原動機を用いるものに限る。)
  • 合成樹脂用射出成型機
  • 鋳型造型機(ジョルト式のものに限る。)

まず、騒音を数値で可視化することから

一方、厚生労働省が策定した「騒音障害防止のためのガイドライン」では、
工場内で働く人を騒音被害から守るため、事業所が行うべき施策を示しています。
そのうち、もっとも基本となるのが騒音測定(作業環境測定)です。

著しい騒音を発する屋内作業場では、6カ月に1回の作業環境測定が義務付けられ、
その記録は3〜5年間の保存が必要です。

6カ月に1回、測定の義務がある屋内作業場

  • 鋲打ち機、はつり機、鋳物の型込機等圧縮空気により駆動される機械又は器具を取り扱う業務を行う屋内作業場
  • ロール機、圧延機等による金属の圧延、伸線、ひずみ取り又は板曲げの業務(液体プレスによるひずみ取り及び板曲げ並びにダイスによる線引きの業務を除く)を行う屋内作業場
  • 動力により駆動されるハンマーを用いる金属の鍛造又は成型の業務を行う屋内作業場
  • タンブラーによる金属製品の研磨又は砂落としの業務を行う屋内作業場
  • 動力によりチェーン等を用いてドラムかんを洗浄する業務を行う屋内作業場
  • ドラムバーカーにより、木材を削皮する業務を行う屋内作業場
  • チッパーによりチップする業務を行う屋内作業場
  • 多筒抄紙機により紙をすく業務を行う屋内作業場

※上記以外にも、騒音レベルが高い52の作業場が定められています。「騒音障害防止のためのガイドライン」解説パンフレット、P13〜14別表2をご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/000679171.pdf


作業環境測定(※2)は、市販やレンタルの騒音計を利用すれば
ご自身で測定することもできますが、測定方法に細かい規定もあるので、騒音の測定・調査を行う専門業者に依頼されるのもよいでしょう。

また、測定の義務がある作業場に該当しなくても、
騒音レベルが高いと思われる場合には、
ガイドラインに準じて測定や対策を検討することをおすすめします。

(※2)作業環境測定の方法(等価騒音レベル測定)については、「騒音障害防止のためのガイドライン」解説パンフレット、P3〜5をご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/000679171.pdf

測定の結果は3つの区分で評価

測定結果は、以下の表のように第Ⅰ管理区分、第Ⅱ管理区分、第Ⅲ管理区分の3つに分けられます。

B測定
85dB(A)未満85dB(A)以上
90dB(A)未満
90dB(A)以上
A測定
平均値
85dB(A)未満第I管理区分第Ⅱ管理区分第Ⅲ管理区分
85dB(A)以上
90dB(A)未満
第Ⅱ管理区分第Ⅱ管理区分第Ⅲ管理区分
90dB(A)以上第Ⅲ管理区分第Ⅲ管理区分第Ⅲ管理区分

第Ⅰ管理区分で発生する音は概ね85デシベル未満のため、
引き続き現状を維持することに努めるとよいでしょう。

一方、第Ⅲ管理区分となると90デシベル以上の騒音が発生していることになり、
作業員への健康被害が懸念されます。
イヤーマフなどの防音保護具の使用はもちろんですが、
騒音源の特定と対策、伝播経路への対策といった早急の措置が必要です。

ダイワ工業では、工場や倉庫などの設計施工を多数手がけており、
そのノウハウを生かした防音対策をご提案しています。
事業者様のご事情に合わせた最善策を一緒に考えてまいりますので、お気軽にご相談ください。